【世界の包丁が両刃なのに、なぜ和包丁は片刃なのか?】包丁特集vol.2
包丁を買いたいと思って、売り場に行ったときに、
洋包丁を選ぶ?和包丁を選ぶ?
刃のつき方、素材、長さや形も違う中で、何を基準に選びますか?
自分の家に、今、どんな包丁があるかで、
次に買う1本が決まります。
という話を、vol.1でしました。
http://science-cooking.com/?p=4233
最後まで読んで
「私の家にある包丁は、片刃?両刃?
なんという包丁かしら?」
と思って、家にある包丁をまじまじと見られたのではないでしょうか。
みなさんがお持ちの包丁は、
それぞれどちらの刃でしたか?
片刃の包丁が家にある!
という人は、それは間違いなく和包丁ですね。
というのも、もともと包丁は、
和包丁=片刃
洋包丁=両刃
だったからです。
世界の包丁が「両刃」なのに
和包丁が「片刃」である理由
和包丁が片刃なのは、
日本刀を原型として作られたからです。
武士の戦いのシーンを思い浮かべてください。
鞘(さや)から、長~い日本刀をサッと引き抜きますよね。
これは、刀に反りがあってこそ、うまく抜けます。
そして、馬に乗って戦い、
すれ違いざまに引き切る。
両手で日本刀を持って構えて、
斜めにすっと引き切るシーンがありますよね。
切れ味のよい刃で、刃渡りを生かして、引きながらスーッと切る、
それは和包丁の技術にも反映されています。
TV番組で、すし職人や和食の料理人が、
刺身を切るシーンをご覧になったことありますよね?
思い出してください。
細くて長い刺身包丁の刃を、
刺身のさく(かたまり)に当てて、そこから
包丁の反りを生かしながら、す~っと引いて切る。
まるで、日本刀のような切り方なんですよね。
(『料理をおいしくする包丁の使い方』(ナツメ社)2001年初版、p209より
→私が23歳のときに、撮影に立ち会ってすべて文章をまとめた本です。今も売れています!)
和包丁=日本刀 ならば
洋包丁は?
では、西洋の戦闘はどうでしょう。
「剣」ですよね。
利き手で剣を持ち、もう一方では盾を持って、
剣を相手に突き刺します。
日本の武士と違って、鎧(よろい、甲冑=かっちゅう)に身を包んでいることもあります。
その鎧のつなぎ目のスキマを突くことができる、
貫通力が強い「剣」が必要だったのです。
その昔、槍(やり)で突き刺していたのと同じ動作です。
押して切るという刃物の使い方をするので、
牛刀などの洋包丁は、押し切りの動作で切ります。
日本刀の切れ味は群を抜いている
和包丁も同じ
西洋の剣は、突き刺して使うので、
剣自体に厚みがあり、重く、その遠心力も使って刺す力にしていきます。
日本刀ほど長くないですよね。
鎧にぶつかって、多少刃が欠けても、折れることはなく、
突き刺して使うので刃こぼれしても、まだ戦えます。
両刃は、刃の中心線から両側に膨らみを持ちます。
切ったときに刃に加わった力が広く分散されるというのも、
折れない強い刃となる理由です。
しかし、
「両刃」の刃物は「片刃」と比較すると、
構造上、スパッと切れる切れ味はよくありません。
では、日本刀はどうでしょう。
片刃は切りつけたときに、刃がスッと食い込み、切れ味が抜群です。
スッと食い込むためには、ある程度刃の薄さも必要です。
薄くても強い刃にするための技術は、
鋼を何度も打っては折り返す “鍛錬(たんれん)” という工程を経て、
日本刀も和包丁も、粘りがありながら硬さも併せ持つという性質を得ています。
刺身を切るときには、切り口の美しさが大事ですよね。
刃のあるほうが表、刃のないようが裏で、
包丁の表と裏では、切れ味が異なり、切れたものの切り口も異なります。
日本料理には、「包丁の冴え」という言葉があるのですが、
これを使い分けて、切り口の美しさを生み出しています。
和包丁がなぜ、片刃なのか。
洋包丁がなぜ、両刃なのか。
それに適した切り方があるということに、納得できると思います。
ということは、
みなさんの家にある包丁がどんな包丁かわかると、
もっと効率よく切れるということなんです。
・・・・・・・・・・・
次回は、
よく切れる片刃の包丁に興味がありますか?
切る動作のコツを知らないと、宝の持ち腐れになります。
片刃の性質を知ると、
切り方がわかる!!
という話をします。
ご自身が持っている包丁が片刃でなくても、
両刃との違いをよくわかって、両刃を使えるようになるので、
お楽しみに♪
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