【パンのトレンドとおいしさの科学vol.1】
洋服はトレンドが毎年のように変わりますが
パンにトレンドなんてあるの?
と思われた方!
ありますよ~。
思い出してください。
コロナ禍に流行ったパンが、ありましたよね。
「一斤売りの食パン」です。
トレンドが、スタンダードになって、
私たちの食生活になじんでいくものと
一過性のブームで終わるものがありますが、
あの食パンブームは、前者。
改めて、
「食パンってこんなにおいしかったんだなぁ」
と思われた方も
いらっしゃったのではないでしょうか。
それもそのはず。
パンの技術は、日進月歩!
材料も製法も、進化し続けています。
でも、みなさん
パンの技術がどんな風に進化しているか
誰からも聞いたことないですよね?
一斤800円くらいする
流行りの食パンを食べて
「高いパンは、さすが、金かかってるだけあって、うまいなぁ」
とか言ってるだけでは、もったいない。
こういう食感が作れるようになった
技術の進歩を、
肌で、いや舌で感じるところなの!
「なぜ、おいしいのか?」がわかると
そのおいしさに、感動できるわけ。
同じ一口食べたときのおいしいという感情が
「なぜ?」をしっていると、
感動が加わるわけ。
ものづくりのストーリーを聞くと
ファンになったりするじゃない?
それと同じ。
<パンの技術の進化>は
日本人の嗜好に合わせたパン作りなのです。
このパンを割ったときの、生地の引きを見てください。
もし、パサパサの生地だったら、こうはならないよ。
生地がしっとり、もちもちしていて、
ちょっと餅っぽい、粘りがあるよね。
だから、引き裂かれた生地が、引き合っているでしょう?
(写真:神戸<nao>のごま食パン)
<もちもち><ふわふわ><しっとり>
この生地の食感が、
今、食パンの1つのトレンドになっています。
日本のパン文化って
海外から見たら
すごく特殊で
「独自の世界観を創り上げている」
のよねぇ。
そもそも、
日本人の主食は、弥生時代から、米でした。
小麦は、うどんやそうめんなどの麺類。
米と麺で
日本人の食生活が成り立っていました。
そこに、海外の小麦で作る「パン」が入ってきた!
すでに米という主食があるところに、
同じ主食のパンが入ってきたとき、
そこで化学変化が起こったのです。
日本人は、米が大好きだから
米の品種改良にも力を入れていますよね。
「もっちり、粘りがあり、みずみずしく、甘みのある食感」を常に追い求めています。
炊飯器だって、高圧がかかったりして、進化しているじゃないですか?
それに比べて、
パンって、パサパサしていますよね。
私たちの時代の給食の角食やコッペパン、そんな印象なかったですか?
それで、日本人は何をしたかというと
お米と同じ嗜好
「もっちり、しっとり、みずみずしい」食感を
なんと、パンにまで出そうとしてきたのです。
そして、この技術開発に力を入れてきたのです。
もう一つ、日本のパンの大きな特徴としては、
甘いパンの文化が、独自路線で発展しているといるところが、オンリーワンですよねぇ。
メロンパン、アンパン、ジャムパンなんかは、
日本独自のパン文化が、炸裂していますよ。
米という主食に
パンが食い込むためには、
お菓子=甘いパン として
15時に食べる
朝ごはんや昼ごはんだけでなく
おやつまでも、パンにすることで
日本人にパンが浸透していくわけです。
私は、日本のパン文化は、
米文化の上に成り立っている
マイワールド全開だと思っています。
そして、本場フランスの小麦粉を使って、現地の味を再現しているというハードパンを、
「おいしい」と食べている自分がいる一方で
日本独自の、もちもち食パンって、
私の中のDNAば、やっぱりおいしいよねと感じてしまっていて
こういう食感のパンは、本場にはないのだから、邪道
なんて思わず、むしろ、やっぱり好きと惹かれてしまう♡
そんな私もいます。
では、次回は、
「もちもち、しっとり、みずみずしいパン」
を買いたいときには
どんなワードに注目したらいいの?
というお話しをしたいと思います。
今回の連載、
かなり気合いが入っているので、お楽しみに♪
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