【ゆで卵の殻をきれいにむきたければ●●の卵を使う】
こんにちは。
サイエンスクッキング プロデューサー
木村万紀子です。
今日もご開封いただき、うれしいです。
3月というのに寒いですね。
昨日は、奈良でも雪がちらつきました。
今日は、
春爛漫の食材の話題を予定していましたが、
急きょ書き換えて「おでん」の話題から。
みなさんは、
おでんの具で何が一番好きですか?
<おでん人気ランキング>
(一正蒲鉾調べより引用)
1位 だいこん(84.4%)
2位 たまご (60.9%)
3位 こんにゃく(46.9%)
4位 もち入りきんちゃく(30.0%)
調査の手法によって、
3位と4位が逆転することがありますが、
だいこんとたまごの人気は不動ですね。
私はたまごにからしをつけて食べるのが好きで、
うちは、たまごの個数が異常なほど多い
おでんだったりします。
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さて、おでんにするゆで卵を準備する時、
ゆで卵の殻をむこうとすると・・・・・・
殻の内側の薄膜とくっついて、
む、むけない!(汗)
そして、何とかむけたとしても、
卵の表面がボロボロになってしまった経験はありませんか?
いつもきれいにむけるのに、
今日に限ってうまくむけないのはどうして?
となげきたくなりますよね。
そうなんです。毎回むけないわけではない。
ただ、おでんを作るときに、これがよく起こるという方がいらっしゃったら、それはスーパーで卵を手にする時からこうなる運命だったのです。
結論からいいますね。
実は、
ちょっと鮮度が落ちた卵のほうが、
つるんとむけるのです。
鮮度のよい卵こそ良い
というのが常識だと思いますが、
ゆで卵の殻をきれいにむきたいのであれば、
その常識は捨ててください。
「産卵後1週間の卵」
が良いとされています。
だからといって、1週間後におでんをしようと、卵を買っておくということはしませんよね。
しかも、おでんは卵の味がストレートに出るから、
今日おでんをしようという日に、
スーパーで、いつもよりも値段の高い、
鮮度のよさそうな、こだわりの卵を手にしてしまっていたりして。
それが、失敗の原因です。
そういった良質の卵は、
産卵後1週間経っても、
まだむけないことがあります。
鮮度のよさが続いているのです。
良質の卵を使いたい場合には、
買ってきてから、
冷蔵で1週間以上経過したものを使いましょう。
または、常温保存にすると、
3日くらいに短縮できます。
その準備はなかなかできないですよね。
今日卵を買って、おでんにしたい場合がほとんどではないでしょうか。
あえて「特売の卵」を買うことをおすすめします。
(大きな声では言えませんが、ちょっと鮮度が落ちているくらいがちょうどよいということです。)
●なぜ、産卵後1週間経過した卵がよい?
ここからは、
酸性・中性・アルカリ性の話になります。
まず、卵白自体はアルカリ性なのですが、
産み立ての卵の卵白は、
pHが低くて中性寄りです(pH7.5)。
日数が経つにつれて、どんどん
pHが高いアルカリ性になります(~pH9.5)。
卵白のpHが低いと、加熱した際に、
殻の下にある薄膜と卵白が癒着(ゆちゃく)
してしまうのです。
だから、鮮度がよいものは、
薄膜と卵白がくっついてむけないのです。
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ちなみに、生命の神秘ってすごい。
何で産み立ての卵の卵白のpHが低いのか。
まず、産み立ての卵の中には、
鶏の血液中の炭酸ガスが溶け込んで、
炭酸ガスが充満しています。
炭酸ガスは水分に溶けると酸性を示すため、
卵白のpHを低くします。
それで微生物が侵入したり、
繁殖するのを防いでくれる役割をしています。
(ちなみに、酢で漬け込むと腐りにくいといいますよね。それは酸性で微生物が繁殖できないから。同じことが起こっている感じです。)
この炭酸ガスは、保存しているうちに
殻の小さな穴(気孔)から抜けていきます。
それで、卵白のpHが保存中に徐々に高くなっていくのですね。