【包丁はどの材質を選べばいいの?】包丁特集vol.5
前回は、
「包丁を最初に買う1本はどれがいいの?」
という話を
片刃、両刃の観点からしました。
本日は、次に大事な
「包丁の材質は何がいいの?」です。
おそらくみなさんが迷うとしたら
次の3つではないでしょうか。
①鋼(はがね)
②ステンレス
③セラミック
鋼(はがね)の長所と短所
和包丁といえば、鋼。
<長所>
切れ味が抜群。
鋼のグレードがいいと、さらに良く切れます。
<短所>
さびやすい。
さびやすいのはテキメン!
使ったら、その場ですぐに洗って、
しっかり布巾でふかないといけません。
晩ごはんを作って、
シンクに置いておいて、
夜遅くになって洗うとすると、
もうさびてしまいます。
<切れ味が悪くなったら?>
砥石(といし)でのとぎ方を覚えれば、
自分でといでも切れ味が復活します。
とぎ方を習得しやすいです。
ステンレスの長所と短所
洋包丁といえば、ステンレス。
<長所①>
さびにくい。
<長所②>
刃こぼれしにくい。
ステンレスは耐久性があります。
<短所>
切れ味は鋼に劣る。
もちろんステンレスもよく切れますが、
比較すると鋼なのです。
<切れ味が落ちたと感じたら?>
砥石で砥ぐことができるが、
鋼よりも、素人にとってはちょっと砥ぎにくい。
シャープナーで砥ぐこともできる。
セラミックの長所と短所
セラミックの包丁は、刃が白いですよね。
そこにイラストがプリントしてあるものもあるくらい。
陶磁器の食器によく使われる素材で、
包丁ができているからです。
歴史は浅く、まだ30年ほどなのですよ。
<長所①>
軽い。
<長所②>
錆びない。
金属でないので、
錆びるということがあり得ないのです。
食洗機で洗えることをウリにしているくらいです。
また、金属アレルギーの方にはありがたい素材ではありますね。
<短所①>
刃が欠けやすい。
刃に弾性が少なく、しなりがないので、
食器を洗う時にちょっとぶつけてしまったり、落としたりすると、
もう修復不可能なほど、大きく欠けるということがあります。
鋼の包丁でたまにある、
「刃こぼれ」というレベルではなく、
大きく欠けることがあります。
<短所②>
刃が鋭いと必然的にそこが薄くなって、より欠けやすくなってしまいますよね。
だから、刃が鈍角に作られているので、切れ味は鋼には劣ります。
<短所③>
砥石で砥げません。
硎ぎ屋さんに出しても、砥石では砥げないと断られたりします。
シャープナーでも選ばないと砥げません。
ダイヤモンドのシャープナーだったらOK。
私だったら、この包丁を買うとしたら、
ダイヤモンドのシャープナーもセットで購入するかなぁ。
私のおススメ包丁の考え方
私は鋼とステンレスを持っています。
大好きなのは、鋼。
良く研がれた鋼の包丁は、惚れ惚れします。
今朝はトマトを切りましたが、
鋼の包丁で切って、
スッと切れる切れ味が、心地いい。
その後、青ねぎ(万能ねぎ)を刻みましたが、
包丁がよく切れると、
切れたねぎがシャキシャキしています。
もし、青ねぎを切れない包丁で切ると、
切り口がつぶれて、薄く刻めない上に、
べちゃっとします。
そして、玉ねぎを切る時みたいに、
目が痛くなるのですよね。
なぜそうなるのか?
よく切れる包丁は、
刃が当たる食材の断面の細胞を壊しにくいのですが、
切れない包丁は細胞を押しつぶしているので、
切り口から細胞の中の成分が流出して、
べちゃっとなったり、その成分が揮発して目が痛くなったり、
食べたときに、口の中にねぎのくせのある味が残ります。
切れ味のよさで、味までもが変わる食材があります。
そういう食材を切るときには、
よくとがれた鋼サイコー!って思います。
でも、朝の時間のないときには、
ステンレスで切って、
洗って洗いかごに置いて自然乾燥させたりっていうのが便利だから、
ステンレスが扱いやすい。
あとはね、
カレーライスみたいにおおざっぱに野菜を切るときには、
鋼でなくてもいいかなってなりますね。
そして、子供がハイハイで後追いで台所に入ってくるような時期には、
料理をしながら子供の面倒を見に行ったりするから、
鋼の包丁を使う心の余裕はなかったので、
ほとんど使えなかったですね。
つまり、ちょっと心に余裕があって、
切れ味の感動を味わって
心の中でうれしいと感じてニンマリしちゃうタイプの人には、
ステンレスの包丁の他に、
鋼の包丁を2本目におすすめします。
(でも、鋼まではちょっとハードルが高いかもという方には、その中間の合金もあるよ。ということもお伝えさせてください。)
これまでの話をまとめると・・・・・・
家庭の台所で便利だなと思う包丁ベスト3
<料理好きな方>編
1本目 三徳包丁(ステンレス製・両刃)
『便利!野菜、肉、魚の何でも切れる』
2本目 三徳包丁(鋼製・両刃)
『好き!さびやすいからメインにはしない』
3本目 出刃包丁(鋼製・片刃)
『これがないと魚がおろせない作業用包丁』
<料理がしんどいなと負担になっている方>編
1本目 三徳包丁(ステンレス製の洋包丁)
刃渡り16~17㎝
2本目 三徳包丁(ステンレス製の洋包丁)
刃渡り18cm
刃渡り違いで、2本用意すると使いやすいですよ。
もっと刃渡りが短いペティナイフもありますが、
用途が限られてしまいます。
和洋中、何でも作る時代の日本人のみなさんには、
まずは、三徳包丁がおすすめです。
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私に良い包丁が、
あなたに良いとは限らない。
包丁は生活スタイルになじむかということも大事だからです。
つまり、ストレスフリーに使えるかどうかは、
どんな料理を作るか、どんな生活スタイルか、
料理でどんなことが楽しいかで、
変わってきます。
私が主宰する『レシピのいらない料理術』には、
料理が苦手、しんどい、面倒という気持ちにかられながら、
でも、本当は美味しく作りたいし、
家族に喜んで欲しいんだ!
と思うみんなが来てくれています。
そういうみんなが
「料理が楽しい~」ってなってきたら、
一緒に包丁屋さんに行って、
こんなのはどう?なんて選ぶのも楽しい。
材質も合金のものとかもっとあるので、そんな話を聞くのも楽しい。
包丁の重さは、カタログを見ただけではわからないから
自分の手にはどれがしっくりくるかも考えることができるし、
試し切りさせてもらえる包丁屋さんもあるのですよ。
次回をお楽しみに。