【ワインを冷凍しちゃっていいの?】

みなさん、おはようございます。

サイエンスクッキング プロデューサー
木村万紀子です。

今日もご覧いただきありがとうございます♪

前回は、
ワインを冷凍保管して煮込みに使う術
冷凍ワインを煮込みに投入.JPG

をお話ししました。

とはいえ、
家庭の冷凍庫では、

ワインを水のようにカチンコチンに
凍らせることができません。

シャーベット状に凍り
常温ではすぐに溶けだしてきます。

溶け出したワイン.JPG

それはなぜでしょう?

水は0℃で凍ります。

では、アルコールは
何℃で凍るかご存知ですか?

-114.5℃

なのです。

お酒は水とアルコールが混ざったもの
ですから、

アルコールが多くなるほど
凍りにくくなります。

アルコール度数が高い
消毒用エタノールでは

アルコール濃度が80%ですから

-55℃以下にならないと凍りません。

 

ちなみに、

みなさんの家の冷凍庫は
何℃に設定されているかご存知ですか。

JIS規格上は-18℃です。

しかし、うちの冷蔵庫内を

今、温度計ではかってみたら、

-12℃の場所がありました。

冷凍庫に食材が詰め込まれていると
冷気がまわりにくいのです。

家庭のこういう冷凍庫で、

ワインはぎりぎり凍るか
凍らないかというところなのです。

だから、凍ってはいるのですが
カチンコチンには凍りません。

こうなると、
冷凍保存して大丈夫なの?

と疑問に思われるでしょう。

私は、
「用途による」と考えています。

 

ワインを誤って凍らせてしまった
というのは、意外とよく聞きます。

もちろん、私も経験がありますよ。

 

今日ワインを飲みたい、でも冷えていない。

   ↓

すぐに冷えるように
冷凍庫で冷やしちゃえ!

   ↓

料理をしているうちに、忘れてしまい

   ↓

あっ!と思ったときには、凍っていた(汗)

解凍すれば、飲めると思ったら・・・

中身の成分が変化して、
濁ったり、沈殿が生じたりする
ことがあるのです。

これで味と香りのバランスが崩れてしまう
と言われています。

ワイン注ぐ200p.jpg

だから、ワインが残ったけれども
なかなか飲む機会がない。

   ↓
瓶で冷蔵庫保存すると、
空気に触れて酸化が進んでしまうし、

場所をとる。

   ↓

だから、飲むときまで冷凍保存しよう。

これは、絶対NO!です。

では、私はなぜ、煮込み用として

冷凍保存は可能と思っているのか。

それは、

「アルコール」そのものが

変質しているわけではないからです。

アルコールには肉をやわらかくしたり

くさみを取ってくれる効果があります。

その効果は何ら変わりありません。

また、煮込むことによって、
そのまま飲むときの味と違って、

バランスが変わるのは当然ですし、

あくまでも隠し味的なものです。

だから、冷蔵庫で邪魔もの扱いされて、
酸化して酸っぱくなってしまうのであれば

コンパクトに冷凍して、

赤ワインでしたら「肉の煮込み」に
白ワインでしたら「魚介を煮る」時に

凍ったままポンと入れて、
残りワインを使い切ることをおすすめします。

こんなことを提案するシェフの方は
あまりいないでしょう。

レストランでは毎日使うから残りません。

こういう家庭の発想が
生まれないんですよね。

また
感覚的に、冷凍って大丈夫?
と感じて、ご提案されない方もいらっしゃると思います。

しかし、目的をはっきりさせて、

科学で考えてみれば、

そのまま瓶内で酸化させてしまうより

よいと思いますよ。

明日は、「ワインの凍りにくい性質を生かすと、こんなこともできる!」をお届けします。

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